ミラーと実装
知識のナカモト係数:計算と検討
NK=1000で検閲成功確率約36.8%。この数字の前提を、物理屋の目で点検する。
モデル
マニフェストは、独立した主体それぞれを強制できる確率を q=0.999 とし、検閲の成功確率を P(NK)=qNK と置きます。
| NK | P(独立・c=0) | P(共通原因 c=1%) |
|---|---|---|
| 1 | 99.9% | 99.9% |
| 10 | 99% | 99.01% |
| 100 | 90.48% | 90.57% |
| 1,000 | 36.77% | 37.4% |
| 10,000 | 0.004517% | 1.004% |
| 100,000 | 3.539e-42% | 1% |
マニフェストの数字(NK=1000で約36.8%、NK=10,000で約0.0045%)は、この式で再現されます。
前提の点検
- 独立性。現実の主体は、独立ではありません。同じ法域、同じクラウド事業者、同じゲートウェイ、同じ検索エンジンに依存します。共通原因で同時に強制される確率を c とすると、P=c+(1−c)qNK。NK を増やしても、P は c を下回りません(上の図の破線、c=1%)。
- q の一様性。強制の難易度は、主体ごとに違います。弱い主体が多数あれば、実効の NK は小さくなります。
- 「複製を持つ」と「到達できる」は別。検閲は、複製を消さなくても、索引・名前解決・ゲートウェイを塞げば、事実上達成されます。
- 需要加重は、長い裾に弱い。読まれる記事ほど複製が増えるので、読まれない記事——検閲される可能性が高い記事——の複製数は少ない(Proof of Read:需要という合意)。
- 「記事ごとのNK」の定義。独立な主体の数は、複製を保持するノードの数ではなく、強制できる法的・技術的な単位の数。ノードが1,000あっても、5か国に集中していれば、NKは5に近い。
結論
方向性は正しい(単一への依存を減らすほど、成功確率は下がる)。ただし「ゼロに収束する」は、独立性の仮定の産物。実際に効くのは、NKの絶対値より、依存関係の多様化(法域・事業者・プロトコルを散らす)です。
測れる指標への落とし込み
| 指標 | 測り方(案) |
|---|---|
| 法域の数 | 複製を保持する固定ノードの国数 |
| 事業者の数 | ホスティング・ゲートウェイ・DNSの事業者数 |
| プロトコルの数 | IPFS、Nostr、その他の経路 |
| 記事ごとの複製数の分布 | 下位10%の記事の複製数 |
ダッシュボード(統計情報 ↗)にこれらを載せると、「ゼロに収束する」という主張を、測定で裏づけられるようになります。